いたいけな真夏の劣情 ※自慰行為描写あり。というか最初から最後までそれだけです。 |
ただただ欲しいと思った。 あれも一種の一目惚れだったのかもしれない。見たんじゃなくて、体で感じて好きになったんだけれど。 経験の浅い子どもと知識だけは大人の中間地点をさ迷う私は、世の中に氾濫する画像や動画を指先一本で探し出しては日々の慰めに使っていた。 シチュエーションには拘りがあって、ーーーいや、ほぼ一つのシチュエーションにしか興味がなかった。それを探すのももうお手のもの。毎日毎夜更新される新着動画にお気に入りがあるととても気分がいい。 検索用の窓にうちこむのは「マッサージ」という単語。 まるで思春期の男の子のようだと自分でも思うけれど一度はまってしまったら抜け出すのは至難の業。 いや、私はそれを望まない。 抜け出せるとすれば、あの人が私をーーー。 「せんせい」 自分でも不思議だった。これを声に出して言うととてつもなく気分が高揚して気持ちよくなる。 そう、私はこの小さな画面の中の女の人みたいにされることを願ってる。 4インチの液晶の中で不自然なまでに体をくねらせてる人。施術用のベッドに横たわる薄着のその人の身体を丁寧になぞる男の人のごつい手。私が「せんせい」と呼ぶ人のそれよりも色黒で手の甲に毛が生えてるのはマイナス要素だが、そんなのは妄想でかき消してしまう。そんな事を気にしていたら見た目も声も違うと、全てが違いすぎて気持ち良くなれなくなってしまう。 自分が処女だったらこんなことしてないのかもしれない。でも、同い年の男の子と付き合ってそういう行為をしたこともあるけれど、私が想像してるほどには気持ち良くないし、今やってるこんなことだってしてなかった。 全てはあの先生の手が悪いのだ。 「せんせい…せんせい…」 きっと、間違いなく気持ちいいんだ。 乱れた呼吸さえ自分を煽る。全裸になることなく、まるで入院患者のような服をはだけられ、あらわれた胸を持ち上げて寄せて中心を吸い上げられてる女優さんの目は固く閉じられていて、ああこの人も別の誰かにこうされてるところを想像してたりするのかななんて思ったりした。 こういう動画を見るときに私が着目するのは、シチュエーションだけでなく女優さんの見た目とかだったりもする。大きな胸には女の自分でも憧れるし、顔は可愛いに越したことはない。もしかしたら男の子の妄想より、綺麗なのかもしれない。あと、痛いのとかは苦手だ。 無料で見れるものの中から好みのものを探し出しては自分の胸や股に手と指を滑らせて、そうやって自分を慰めてからマッサージに行くのが、ここ3ヶ月ほど続いていた。そうしないとマッサージ中に欲をぶちまけてしまいそうで怖かった。 でも。 本当は先生にして欲しい。そう口に出したら何てイヤラシイ子なんだと軽蔑されてしまうだろうか。笑ってのってくれるのだろうか。冗談でしょと笑われるかもしれない。 ああ、分からない、これが恋なのかも分からない。こんなのは初めてで、これほどまでに男の人に劣情を抱いた事なんて無かったから自分でも戸惑っているのだ。 不規則になる息遣い、汗をかいた太股裏が気持ち悪い。それでも止められない。既に痺れ始めてる自分の一番気持ちいいところ。過去の彼氏との行為ではイった事なんてなかったのに、皮肉なもので、私は妄想と自分の指だけで簡単にイくようになってしまった。 真っ暗な部屋の中で一人汗だくになりながら苦しそうに喘ぐ女の人を羨ましいと思った。私も先生に入れてもらいたい。いっぱい、いっぱいさわって欲しい。 「ああっ、んっ、せんせい、せんせい」 一層切なくなって下着の上から擦りあげれば両の足がピンとのびる。ああ、イってしまった。 一時は満足するけど、やはり足りない。 「せんせい」 ああ、欲しいな。あの手が、あの声が、私だけに向けられたら。それはそれは気持ちがいいに違いない。 ぼんやりとした頭のまま自室を見渡せば、閉め切ったカーテンの隙間からは夏特有の強い日差しが入り込んでいるのが見えた。そろそろ時間だ。予約してあるから遅刻はできない。 「シャワー浴びよ…」 ついでに下着も替えなきゃ。 そうして私は全てをリセットして、でもまた先生にあってしまえば内に籠もる熱に浮かされるんだろう。 戻る - - - - - - - - - - 続くかもしれない話。マッサージ行きたい。 |